ateliers PENELOPE Standard | Vol.4
[Hold Pouch]

昨年の11月に青山で久しぶりの単独ポップアップイベントに出展いたしました。青山通りに面したガラス張りのショーケースからは1日中人々の往来が目に映ります。同じ会場で実に9年ぶりの開催でしたが、建ち並ぶビルや通りのテナントに多少の入れ替わりは見られるものの、一見大きくは変わっていないように見える青山の街並。ただ、通りを行き交う人々の空気感だけはどことなく以前と違うような気がしていました。
ここ数年で働き方そして身の回りの便利なツールは大きく変化し、デスクトップPCが当たり前だった時代から一人一台ノートPCの時代へ。打ち合わせもリモートで行うことが増えました。商品を触らないと仕事にならず「リモート」という感覚に疎かった私たちですら、近頃ではすっかり画面越しの会話にも慣れたものです。そうした時代の変化の流れなのでしょうか、街中で人と人とが交差して生まれる熱量が、良い悪いではなく少し薄まったような気がするなと感じたのでした。
2009年にHold Pouchシリーズを発売したばかりの頃、日々のパソコン作業といえばお客様へのメールや通販対応がメインでした。通販の支払いも代金引換のみで電話でのご注文もまだまだ多かった時代です。
書類やデスク周りのものを一つにまとめて抱えて持ち運べるポーチというコンセプトで製作したA4サイズが入るHold Pouch(L)、そしてA5サイズに合わせたHold Pouch(S)。当時わたしたちの頭にはデジタルデバイスを持ち歩くという発想はほとんどなかったのですが、時代の変化に合わせてご提案する使い方も大きく変わってきました。
初代のHold Pouchはメタル製のファスナーで生産していました。10号パラフィン帆布の生地が経年でくたっと馴染んでくると重厚なファスナーが存在感を示し、燻されたような色合いのアンティーク塗装がだんだんと擦れて味わい深くなります。現在メタルファスナーでの展開はHold Pouch(L)のみです。

クッション性は備えていませんが13インチPCの保護カバーとしても使え、中身が少ない時は縦半分のサイズに口元を折り曲げればコンパクトになり、大は小を兼ねるありそうでなかなかないサイズのポーチです。トートやバックパックの中で立てて使えるので、配色でアクセントを楽しんでいただけます。
Hold Pouch(S)は元はA5サイズに合わせた仕様でしたが、数年前に11インチのタブレッドが入るサイズにリニューアルしました。ファスナーも開閉がスムーズなコイルタイプに切り替え、内側に仕切りポケットが追加されました。ケースなしの状態のタブレットは内ポケットにすっぽりとおさまります。
大きめでポケットが少ないバッグを持つ時に、中で仕切り代わりにしていただくのもおすすめの使い方です。脇に抱えるとクラッチバッグのような雰囲気に。ステーショナリーや貴重品をまとめておくのにも向いています。
(S)のリニューアルに合わせて発売したHold Pouch(SS)は、手のひらに収まりが良く、かと言って小さすぎないサイズ感で細々としたアイテムを整理するのに便利なポーチです。
アルバムサイズのCD1枚がゆったりと収まります。最近は配信でばかり聴いてしまう音楽も、ほんの十数年前までは身近な人とCDの貸し借りを頻繁にしたものです。そのままだとプラケースが割れたり傷つくので当時ちょうどいいサイズのポーチに入れたりしていたなあと、撮影しながらなんだか懐かしくなりました。
必ず持ち歩きたいけど細かくて行方不明になりがち...そんなアイテムも小さめのポーチにまとめて入れておけば、バッグを替える時もさっと入れ替えられますね。四つ折りのハンカチもすっぽり入ります。バッグの中で目印になるように、用途ごとに色分けしておけばコンパクトに整理できそうです。
お客様から「パソコンが入る大きさのバッグを探していて」とご相談を受けることもだいぶ増えましたし、街中のビジネスマンもバックパックの方が大半ですね。いろんな機能がまとまった便利なツールを一つ所持すると、それを快適に使うためにまた別のアイテムが必要になる現象に名前をつけるとしたらなんでしょうか。ドラえもんの四次元ポケットのように身軽に便利は手に入らないのです。様々なツールを入れるため考えられた機能的なポーチを見かけることも、ここ数年でぐんと増えた気がします。

Hold Pouchシリーズはサイズ分けこそしていますが、用途を限定しない余白を残したデザインとなっています。生地の表情を活かしそれゆえ作り込みすぎず、最終的な使い道はお客様の手に委ねて思い思いに使っていただきたい、というわたしたちの思いはどの製品に対しても同じです。生地から似合う形を想像したデザインに役割を当てはめすぎるのは何だか違う気がするのです。「実はこんな使い方をしているんです」と店頭でお客様からお話を伺うことも楽しいひとときです。
シンプルで自由度の高いデザインの使い慣れたポーチは、きっとこの先の生活スタイルや、持ち歩くものが多少変わっても、寄り添い続けてくれるのではないでしょうか。
・Hold Pouch(L)
・Hold Pouch(S)
・Hold Pouch(SS)
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写真・テキスト / Nao Watanabe
©️2026 ateliers PENELOPE












