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FEATURE

ateliers PENELOPE Standard | Vol.3
[#6 Cylinder Bag]

 

 

ブランドを立ち上げた時から30年近く、変わらずにずっと作り続けている定番でありシグネチャー的存在の「Cylinder Bag(シリンダーバッグ)」。約30年前、「帆布で何かを作りたい」と思ったデザイナーが素材に触れ、ミシンを踏みながら試行錯誤し生まれたのが、このインテリアのように自立する佇まいのバケツ型のデザインでした。ちょこんとついた短いハンドルは決して万人受けする使い易さではないかもしれませんが、その絶妙なバランスこそが無骨な帆布素材の中に凛とした愛らしさを感じさせてくれるのだと思います。

ateliers PENELOPE の定番をご紹介する「ateliers PENELOPE Standard 」。今回はその定番中の定番であるCylinder Bagを6号帆布に生地替えし製作した「#6 Cylinder Bag(6号シリンダーバッグ)」を特集します。

 

 

2021年にブランド設立25周年を記念して発売した #6 Cylinder Bag。アイテムの名前の「#6」は6号帆布の「6」です。昔からの定番品にはこの番号がついていない物もあるのですが、だんだんと取り扱う生地の種類が増えこのように名づけることが増えました。

 

Photo by gorta yuuki

 

ザラザラとした手触りの6号帆布の布目に沿って裁ち鋏を入れると、「ジャリッ」「シャクッ」とした独特の刃音と感触がします。パラフィン加工をした後にあえてバイオウォッシュを施し大きなドラムの中で揉まれた帆布は、しっとりとヴィンテージ感を持つ風合いに仕上がります。縫製で幾度も曲げたり裏返されたりしてようやく立体的な製品の形になったときに、ゴツゴツと彫刻みたいな雰囲気ながらも不思議としなやかさが感じられるのはそのためです。

 

 

帆布にはたくさんの厚みの規格があります。特に6号帆布は私たちが扱う帆布の中でも一番ウェイトが重く、1反の巻も太めで移動させるのも一苦労です。10号帆布の50m巻に対して、6号帆布の25m巻の太さはだいたい同じか少し細いくらい。昔は「この程度は持てないといけないな!」と一人で持ち上げていた生地も最近は恐る恐るの私です。配送や加工の現場で生地を運んでくださっている方々には感謝しかありません。

 

 

帆布生地の厚みは、撚り合わせる糸の本数で決まります。繊維の原料が紡績過程を経て「原糸」となり、そこから「合糸」と呼ばれる帆布の規格ごとに糸の本数を合わせる工程、そして「撚糸」で束ねた糸を撚り上げて強度を出し、初めて製織工程に入れる前段階の状態となります。実際の商品のものではありませんが、こちらは10年ほど前に倉敷の工場を見学させていただいた時の写真です。

 

 

#6 Cylinder Bagは定番だからこそ長くお使いいただけるよう、ハンドル部分にはロゴ素押し入りのオイルレザー(牛革)を巻き、長さも従来のCylinder Bagよりも少しだけ長めで手首に通せるくらいのゆとりを持たせています。底面と高さは1-2cm大きくすることで、重厚感ある6号帆布とのバランスをとっています。

 

 

分厚い6号帆布は全体を二枚仕立てにしてしまうと重く、ミシンの針が通らなくなってしまうため、底が沈まないように底板を仕込んで形が保たれるようにしています。丸い底面は開いた時にバッグの中身全体がぱっとわかり、お弁当や水筒も倒れにくく安定して収納することができます。

 

 

内側のポケット付きの返しの縁は帆布の耳を利用していて、これは昔ながらのシャトル織機で織られた証なのです。そのままでは浮いてしまうので閂(カンヌキ)止めで押さえていますが、このステッチが表面に4箇所出ることで、「おへそ」のようなアクセントとなり、全体のディテールを深めています。

 

 

6 Cylinder Bag のパーツは丸と長方形を組み合わせた合計4つのパターンから出来ていて、シンプルだからこそステッチが少しでも曲がったらどこか違和感が生まれてバランスが崩れてしまいます。

 

初めて量産をお願いした際に『生地が硬くて大変です...』と言っていた縫製工場の職人の方も、今はすっかり慣れてくださって、閂止めもとても綺麗に仕上げてくださいます。

 

 

 

デザインを創造するだけでは理想の製品を生み出すことはできません。わたしたちの微細なこだわりを製品に反映できるのは、いつも細やかに汲み取ってくださる職人の方々のおかげです。

 

 

>> #6 Cylinder Bag の商品詳細はこちら

 

写真・テキスト / Nao Watanabe

©️2026 ateliers PENELOPE